動画投稿アプリ「Tiktok」で、浦添市が発信した動画に対し「性差別的だ」「セクハラではないか」と、X(旧ツイッター)などのSNSで批判の声が上がった。松本哲治市長は22日に会見を開き謝罪したが、これらの動画について「ぎりぎり大丈夫だと思っていた」と述べた。性的な内容を想起させる動画は、自治体が運用する公式アカウントの投稿としては、明らかに不適切で、人権への配慮を欠いている。
SNSやウェブサイトでは、PVや「いいね」の件数を稼ぐため、人目を引こうと意外性のある表現などで「釣る」ことがよく見られ、性的な表現を用いたものも無数にある。一方、性被害の告発が相次いだ#MeToo運動などを背景に、国内でもSNSユーザーが性差別的な表現に敏感に反応し、厳しい声を上げるようになった。市は時代の流れを学ぶ必要がある。
市は2014年にSNS運用ガイドラインを定めており「発信する情報は正確を期すとともに、その内容について誤解を招かないよう留意する」と禁止事項もある。今回その指針に基づいたチェック機能が十分に働いたとは言い難い。市長の言う「ぎりぎり」の判断に女性をはじめ多様な意見を聞き反映させる過程があったか疑問も残る。
市は県内で初めて21年に「多様性を尊重する社会を実現するための条例」を制定し、第1条には「性別による偏見や差別を受けることなく生きることができる社会の実現」をうたう。条例に照らし性別による偏見や差別がないか、市自体の取り組みの検証を重ねるべきだ。
(慶田城七瀬)