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打ち明けられなかった声がつながる 性暴力被害者の支援に確かな前進 REICO 28年の活動振り返る


打ち明けられなかった声がつながる 性暴力被害者の支援に確かな前進 REICO 28年の活動振り返る REICOの活動を振り返る(左から)崎原林子さんと竹下小夜子さん、高里鈴代さん、角田由紀子弁護士=24日、那覇市の県立博物館・美術館
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「5年前にもこの電話があったら、という思いでかけた」。1995年10月25日午後7時、強姦救援センター・沖縄「REICO(レイコ)」(高里鈴代代表)が活動を始め、最初に電話をかけてきたのは、この5年前に米兵にレイプされたという女性だった。それから28年、県内で性暴力被害者の相談窓口の先駆けとして活動してきたレイコは、9月末で一定の役割を果たしたとして活動を終える。

 24日、那覇市の県立博物館・美術館でレイコの活動を振り返るシンポジウム「28年間の支援活動から見える現状と提言」が開かれた。立ち上げから関わる精神科医の竹下小夜子さんと、臨床心理士の崎原林子さん、代表の高里さんが登壇した。約100人が来場した。

 高里さんがレイコを立ち上げたきっかけは、1995年9月の米兵による少女乱暴事件だった。レイコ設立を決意し、95年10月21日に宜野湾海浜公園で開かれた県民総決起大会で、設立を告げるチラシを配った。そしてかかってきたのが先の電話だった。「最初の電話が活動を応援する電話だった。それから28年続いた」と開設当初を振り返った。

 竹下さんは「性暴力の問題に共に取り組む仲間がいることは、安心感があり、心強かった。被害からかなり時間がたって臨床現場(病院)に来る方が多かったが、警察から直接(被害者を)つないでもらうことが増えた」と語った。28年の活動について「(性暴力に関する)法律改正があり、捨てたものじゃなかった。深いところで確かな流れがあり、ここまで来たのだと勇気付けられた」と笑顔を見せた。

 高里代表は、県が運営する性暴力被害者ワンストップ支援センターについて「24時間365日の支援体制は私たちがずっと望んでいた」と力を込め、今後の活動に期待した。

 1部で角田由紀子弁護士が「性暴力と法律~変わったこと、変えたいこと~」と題し講演した。(藤村謙吾)