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「闘牛を世界へ」野望燃え 闘牛戦士ワイドー10年 ファン拡大


「闘牛を世界へ」野望燃え 闘牛戦士ワイドー10年 ファン拡大 初代闘牛戦士ワイドーと、ワイドー生みの親の伊波大志さん=2013年(提供)
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 【うるま】10月9日は語呂合わせで「闘牛の日」。うるま市の平和を守りながら闘牛文化を広めるヒーロー「闘牛戦士ワイドー」の誕生から、今年で10年を迎えた。人を牛に変える悪の組織と闘う多忙の中でも、地域のイベントにはしっかり顔を出し、子どもたちの心をわしづかみにする。生みの親は闘牛アナウンサーの伊波大志さん(39)。「周囲の協力あってここまで愛される存在になった。今はワイドーと共に沖縄闘牛を世界に、という野望に燃えている」と意気込む。

 20歳のころからラジオリポーターとして闘牛をPRし、大会では実況アナウンサーとしてマイクを握ってきた伊波さん。子どもたちにも闘牛文化を伝えたいと、闘牛界のヒーローを生み出そうと思い立った。漫画家志望の後輩に衣装デザインを考案してもらい、プロレスのコスチュームを制作している業者に依頼して、初代「ワイドー」が生まれた。

 営業は保育園回りから始めた。ワイドー役は妻の彩絵さん、敵役は兄弟や友人に協力を仰いだ。ワイドー以外の衣装はディスカウント店「ドン・キホーテ」で購入した。「全て自分たちでこなしていた」と振り返る。

 地道な活動を続けていたところ、テレビなどで取り上げられ、一気に知名度が拡大。2017年にテレビドラマ化された。企画プロデューサー・脚本を「琉神マブヤー」などの代表作がある山田優樹さん、脚本監修を「ウルトラセブン」などの作品を手がけた上原正三さんが務めた。撮影は全編うるま市。「登場牛は黒毛だけでなく、パンダ牛も混ぜるなどこだわった」と語る。19年には続編の「ワイドー2」も放送された。

 ドラマの反響は大きく、闘牛場に小さな子どもたちも訪れるように。大会の時には、子どもたちがドラマの登場人物のように「ワイドー」と叫んで喜びを表現したり、ヤグイ(闘牛士の掛け声)のまねをしたりする姿も目立つ。「大変なことも多かったが、間違いなくファンが増えた。本当にやって良かった」と伊波さん。現在、「ワイドー3」を求める声も多く寄せられてると言い、「スポンサーは募集中」と笑った。

(新垣若菜)