与那国島で10日にアクトプロ(東京)が企画運営する洞窟探検ツアーのガイドと参加者2人の計3人が行方不明となった件で、八重山署は11日、夫婦で参加していた愛知県名古屋市の会社員伊東秀恭さん(41)の死亡を確認したと発表した。伊東さんの妻(52)と男性ガイド(28)は自力で洞窟から脱出した。けがはなかった。
県警や地元消防などの捜索隊が11日午前に洞窟の入り口から20メートル付近の岩場に横たわっている伊東さんを発見した。心肺停止の状態で洞窟内から出された後、与那国町の施設内で午後6時16分、死亡が確認された。
八重山署によると、洞窟は与那国島南東部の新川鼻にあり、全長は約120メートル。10日午前10時半ごろにツアーを開始した。
3人は折り返して出口に向かう途中で洞窟内の水位が急上昇し、それぞれ孤立したという。
水位が下がったところで、男性ガイドが声を掛け反応があった妻と、11日午前1時ごろに洞窟から自力で出た。男性ガイドは「急に増水して水面から顔を出すのがやっとの状態で3人が離ればなれになった」などと話しているという。与那国島では10日午前にまとまった雨が降った。
アクトプロ社などによると、3人が参加したツアーは、肩まで水につかったり、ほふく前進したりする上級者向けのコースで、地下水に漬かりながらの移動を伴うため経験者のみが参加可能としている。ガイドは同社の与那国事業所の社員だという。八重山署は関係者から詳しい事情を聞くとともに、今後、同社への聞き取りなどを進め、ツアーの安全性や開催基準に問題がなかったのかなど詳しく調べる方針。