10日午前、断続的に雨 与那国の洞窟遭難 識者が危険性を指摘


10日午前、断続的に雨 与那国の洞窟遭難 識者が危険性を指摘 洞窟へ救助に向かう捜査員ら=11日、与那国町
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 与那国島で洞窟探検ツアーのガイドと参加者2人の計3人が行方不明になった件について、探検を開始した10日は午前中から昼ごろにかけて断続的に雨が降っており、それが水位の上昇に影響した可能性がある。

 識者も「状況にもよるが、雨が降った際の洞窟探検は避けた方がいい」と、雨天時の危険性の高さを指摘している。

 沖縄気象台によると、10日の与那国島地方は気圧の谷間にあり、湿った空気が入りやすく雨が降りやすい状況だった。1時間ごとの降水量をみると、午前3時に13.5ミリのやや強い雨が降り、以降断続的に雨を観測している。ツアー中とみられる同11時には21.5ミリの強い雨が降っている。

 県内の洞窟に詳しい、日本洞窟学会会員でNPO法人沖縄鍾乳洞協会理事長も務める山内平三郎さん(76)は「未知の世界に踏み込むという体験が味わえるのが洞窟探検の醍醐味(だいごみ)。体験すると誰もが喜んでくれる」と説明し、その魅力を強調する。

 一方で「県外に比べて雨が降ると洞窟内の地下水の水位が急激に上がりやすい」と指摘。「ガイドの経験にもよるが、雨には注意しなければならない。洞窟探検で水の事故は多く。私なら入らない」と持論を語る。

 「沖縄といえども、水にぬれて長時間洞窟にいれば寒くて体力も消耗する。事故に備えた装備を準備していたのかも気になる」と指摘。「洞窟学会が探検や調査を行うにあたってのガイドラインを設けている。事業者がそれに準じたツアー運営を行っていたのかも検証すべきだろう」と主張した。

(小波津智也)