発がん性などが指摘される有機フッ素化合物PFAS。PFOSやPFOAなど一部の物質は国際的に製造や使用が禁止され、土壌中の濃度についても、規制やモニタリングの動きが進む。一方、下水処理場で発生する汚泥にも一部PFASが残留しているとし、米国では、汚泥を原料とした肥料(汚泥肥料)の使用による健康リスクを数値に基づき評価する動きが加速している。
日本では水質に関する国の暫定指針値はあるが、土壌中の基準はまだ検討中で、汚泥肥料に至っては検討対象にも上がっていない。
沖縄県は下水処理場で発生する汚泥を処理事業の一環で民間企業に販売している。この汚泥が他の資材と混合された上で、汚泥肥料として流通している。実際に汚泥肥料を入手し、PFASの濃度を調べて見た。
PFAS濃度、本紙が独自調査
沖縄県内の場合、PFAS汚染は米軍基地で長年使われてきた泡消火剤に要因があると指摘されてきた。だが日本側による基地内の立ち入り調査は実現しておらず、汚染源は特定できていない。
米軍基地の外でも、汚泥肥料を通してPFAS汚染が「循環」しているのではないかとの指摘もあることから、琉球新報は京都大学の原田浩二准教授(環境衛生学)の協力を得て、以下の物質についてPFAS濃度を分析し、相対的な比較を試みた。
①国頭村の森林土壌 ②沖縄県内製造の堆肥 ③沖縄県内製造の汚泥肥料 ④佐賀県内製造の汚泥肥料。
ちなみに③の汚泥肥料は、米軍普天間飛行場からの汚水も流入する宜野湾浄化センターで発生する汚泥を原料に使っている。この浄水場は21年、県が脱水汚泥の値を計測したこともある。その時の値はPFOSが1キロ当たり9100ナノグラムだった。
④は周辺に米軍基地がない場所で生産された汚泥肥料のサンプルとして比較した。その結果は意外なものとなった。