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【記者解説】九州への”有事避難計画” 外交努力のあとに実行性ある議論を


【記者解説】九州への”有事避難計画” 外交努力のあとに実行性ある議論を 県国民保護図上訓練で、避難実施要領案を説明する先島地方の5市町村の職員(奥)ら=3月17日、県庁
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 国民保護法に基づき、有事の際の先島住民12万人の九州への避難計画が進められ、住民説明会も実施されている。しかし住民が納得できるような内容とは言い難く、受け入れ先との調整や輸送力の確保、避難住民への支援など具体的な議論も進んでいない。現時点では「机上の計画」に過ぎない。

 武力攻撃を受ける事態を想定する以前に、有事回避のため外交努力を強化することが政府の役割となる。近隣諸国との緊張緩和を図ることが県民、国民の生命・財産を守る最大の施策となることを、政府や都道府県行政が強く認識することが重要だ。

 その上で「全住民避難」の実現性を考える必要がある。航空・船舶など輸送手段は確保できるか、九州での受け入れは可能なのか。具体的な議論とシミュレーションは不可欠となる。避難を伴う事態は有事に限らず、自然災害時でも起こり得る。実行性を伴う現実的な議論が求められている。

 国は沖縄の広大な土地を米国に提供し、先島でも急速に自衛隊配備を進める。住民に不安定要素を押し付けている責任を自覚しなければいけない。「抑止力強化」に前のめりになる一方で、県民の生命保護を軽視することがあってはならない。住民保護の在り方が問われている。 (新垣若菜)

住民の反応は

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