【宮古・石垣・与那国】具体的な避難先が不明なまま訓練計画だけが進む、有事の際の住民避難。国が基本方針を立て、県が行う約12万人の避難計画に、対象となる先島地方の住民からは「あまりにもいい加減で現実的ではない」とあきれ声が漏れ、平和外交で有事を回避することを求めた。
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宮古島市で農業を営む仲里成繁さん(70)は、受け入れ先との協議がないことに「国民保護法に基づく避難を決めたのに、何も道筋を立てない国と、この状況を放置している県は無責任だ」と語る。有事が起きた場合の受け入れ先となる福岡県と鹿児島県でも地元住民の避難があることを指摘。「先島の避難受け入れの計画が後回しになることは目に見えている。国は有事の想定よりも、平和的な外交に力を注ぐべきだ」と訴えた。
先日、4回目の住民説明会が開かれた与那国町。行政の長である町長は不参加で、役場担当者は住民からの質問に「明確に答えられない」と繰り返した。参加者の1人である山田和幸さん(71)は「国から丸投げされている中で、町の担当者が困っている様子で気の毒だった」と話す。全住民の避難は「避難先が決まる以前に、そもそも避難が到底困難だ」と強調する。
石垣市の藤井幸子さん(75)は「避難先が決まっていないことは分かっている。現実的ではないのだから」と嘆く。石垣市では14日から米軍と自衛隊の共同訓練が始まり、「そもそも狙われる状態にしているのは誰か。避難する事態が起きないようにするべきだ」と指摘した。 (友寄開、照屋大哲、新垣若菜)
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