有料

「冤罪救済へ法改正を」 袴田さん事件 再審制度の問題語る


「冤罪救済へ法改正を」 袴田さん事件 再審制度の問題語る シンポジウム「袴田事件から学ぶ―冤罪、再審、死刑―」で登壇する(右から)村山浩昭弁護士、小川秀世弁護士、鴨志田祐美弁護士=21日、那覇市松尾の八汐荘
この記事を書いた人 Avatar photo 金良 孝矢

 沖縄弁護士会は21日、1966年の静岡県の一家殺害事件で死刑確定後、裁判のやり直しが決まった袴田巌さんの事件を通して学ぶシンポジウム「袴田事件から学ぶ―冤罪(えんざい)、再審、死刑―」を那覇市の八汐荘で開いた。2014年に再審開始決定を出した元裁判長らが講演し、刑事訴訟法の再審規定(再審法)改正の必要性を訴えた。袴田さんの初公判は27日に静岡地裁で開かれる。

 元裁判長の村山浩昭弁護士は、08年の第2次再審請求の途中から関わったことを報告。無罪を疑わせる重要証拠の情報開示で、検察側から抵抗もあったと明かした。「情報開示の問題が、再審開始の扉を開ける障害になっているのは間違いない」と指摘した。

 検察側の抗告で再審手続きに時間を要し、「百害あって一利なし」と検察側の対応を批判した。東京高裁による18年の再審開始決定取り消しには「本当に(巌さんを支えてきた姉の)秀子さんには申し訳ないと思った」と涙ぐんだ。「法律や制度は変えられる。再審法の理念である冤罪救済の目的実現に近づく法律に変えよう」と強調した。

 弁護団事務局長の小川秀世弁護士は「人間は不完全な存在で間違いを犯すのだから、死刑という絶対の刑を科すことは許されない」と述べた。日本弁護士連合会再審法改正実現本部本部長代行の鴨志田祐美弁護士(大崎事件再審弁護団事務局長)がディスカッションを進行し「裁判官によって証拠の出方が全然違う」という問題点も提起した。

 来場者のほかオンラインも含め約120人が参加し、再審制度の問題などについて学んだ。

 (金良孝矢)