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「忘れることはない」 池袋暴走事故、原告9人中5人の賠償認めず 遺族、複雑な表情


「忘れることはない」 池袋暴走事故、原告9人中5人の賠償認めず 遺族、複雑な表情 判決後、記者会見する松永拓也さん(右)と亡くなった真菜さんの父上原義教さん=27日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 2019年に起きた東京・池袋の乗用車暴走事故で旧通産省工業技術院元院長に計約1億4千万円の賠償命令が出たことを受け、遺族らは27日、東京都内で記者会見し、松永拓也さん(37)は「一定の評価をしたい」と述べた。事故で失った妻真菜さん=当時(31)=と、長女莉子ちゃん=同(3)=について「忘れることはない。もう一度抱きしめたい」と言葉を絞り出すように語った。

 東京地裁判決は、原告となった遺族ら9人中、5人の請求は認めず「金額の問題ではないが、ふに落ちない」と複雑な表情も見せた。

 松永さんは事故後、交通犯罪の遺族らでつくる「関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」の副代表理事に就任。高齢ドライバーを巡る問題などに関し、全国で講演活動を続ける。「2人の命が無駄にならないよう活動し、前向きに生きていきたい」と決意をにじませた。

 真菜さんの父上原義教さん(66)も会見に同席。これまでの裁判を振り返り「真菜と莉子のことを思い出す日々だった。(他の人には)同じような苦しみを味わってほしくない」と話した。