1960年代ごろに創業し、沖縄に残る最後の銭湯(ユーフルヤー)としてさまざまな人に応援されてきた、沖縄市安慶田の銭湯「中乃湯」が、愛知県出身の鈴木花奈さん(31)を運営に招いて8日から、夜の部(午後6時~10時)の営業を再開する。店主の仲村シゲさん(89)の体力低下で、これまでは昼の部のみ営業していた。鈴木さんは銭湯が好きで、2022年にデザイン関係の仕事を退職し、11月から中乃湯の運営に加わることになったという。
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鈴木さんは22年1月に仕事のため沖縄に移住して中乃湯を知り、料金の安い銭湯に入ろうと訪れた。銭湯そのものやシゲさんの人柄などに魅力を感じ、この場所を残したいと強く感じるようになったという。鈴木さんはデザインの仕事を辞め、同年11月から23年9月まで奈良県の銭湯で掃除や番頭などの業務を学んできた。
中乃湯はこれまで、シゲさんが午後2~4時まで開けていた。これからは鈴木さんが夜の営業を担当することで、木、日曜の定休日を除き、午後2時ごろ~6時ごろまでの昼の部、午後6時~10時までの夜の部で営業する。
シゲさんの息子で琉球大学准教授の仲村一郎さん(52)は、中乃湯の運営を続けたいというシゲさんの思いを尊重したかったが、事故や防犯などの面で不安も大きかったという。周囲に相談していたところ、協力者が集まりフェイスブックを中心に活動する「中乃湯応援団」が結成され、鈴木さんが運営に加わることになった。
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一郎さんは「収益面での厳しさなどを伝えてもなお、働きたいと言ってくれて本当にありがたい。デザインの仕事を生かした取り組みなど、さまざまなことに期待したい」と述べた。
鈴木さんは「何回来ても毎回シゲさんに初めましてとあいさつされる。まずは名前を覚えていただくのが目標です」と笑顔を見せた。
シゲさんは鈴木さんを見て「初めまして」とあいさつ。しばらく会話を重ね「手伝ってくれる方が来ると聞き楽しみに待っていたが、とてもいい人が来てくれた。2人で頑張ろうね」と声をかけた。
(福田修平)
人情染みる地域の湯 中乃湯(沖縄市) 県内唯一の銭湯
【沖縄】「今日もいいお湯だったさ」「ありがとうねー」-。常連客と店主仲村シゲさん(83)の人情味あふれるやりとりが、住宅街に聞こえてくる。1960年代初頭の最 …