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「沖縄の基地、人ごとでない」 オスプレイ墜落2週間  屋久島住民「徹底究明を」


「沖縄の基地、人ごとでない」 オスプレイ墜落2週間  屋久島住民「徹底究明を」 屋久島空港に到着した米軍のヘリコプター(右)=1日
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 鹿児島県・屋久島沖の米空軍輸送機CV22オスプレイ墜落事故は、13日で発生から2週間となった。米軍は搭乗員8人全員の死亡を認定し、これまでに7人が発見された。残る行方不明者の捜索と、機体の胴体部の引き揚げに向けた準備が続いている。屋久島の住民は「早く見つかってほしい」と願い、徹底した原因究明を求めている。 (1面に関連)
 11月29日の事故直後、遊漁船船長の若松誠一さん(69)は、大小さまざまな残骸が漂う中、墜落現場に船を走らせた。海面に目を凝らしていると、迷彩柄の服を着てうつぶせで浮いている人影を発見。船に引き揚げたが、首が折れているようで、歯は数本欠けていた。
 「彼らは『オスプレイは安全』と信じて乗っていたのか。心の中では乗りたくないと思う人もいたのではないか」とおもんぱかる。
 島内では米軍や自衛隊の車両が行き交っている。屋久島空港に飛来した米軍機を物珍しそうに見つめ、カメラに収める家族連れの姿もあった。
 約20年前、大阪府から屋久島に移住した宮崎時男さん(80)は、空港の近くを通りかかった際、見慣れない米軍機の存在に気がついた。今回の事故で「防衛問題や沖縄の基地問題は人ごとではない」と考えるようになったという。妻ヒロミさん(76)は「もし自分の家族が事故に巻き込まれたらと思うと気が気でない。行方不明者が早く見つかり、家族の元へ帰れるように」と祈った。
 島の北東部にある屋久島空港近くの岩場で、墜落を目撃した農業平田耕作さん(68)は「自分の方に向かってきていた。一歩間違えたら巻き込まれていたかもしれない」と恐怖を語る。
 他方で近年、屋久島付近では、中国の測量艦の領海侵入が数カ月おき程度のペースで確認されていることに懸念を抱く。「安全保障環境の変化を踏まえると、墜落したからただちにオスプレイの訓練に反対とは言えない」と吐露した。
 高級魚シマアジ漁の時期を迎える中、捜索に協力してきた漁師たちも米軍の対応を注視する。渡辺和紀さん(75)は「原因を究明し、事故をなくすことが漁師の安心につながる」と訴えた。