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世界自然遺産、環境保全の日米声明で一部黒塗り 環境団体が情報開示請求


世界自然遺産、環境保全の日米声明で一部黒塗り 環境団体が情報開示請求 3ページのうち2ページが黒塗りで部分開示された自然環境保全に関する日米共同声明の原文
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 

 ユネスコの世界自然遺産に登録された本島北部の自然環境保全に向けて、ことし7月に日米両国の協力を定めた共同声明の原本を、調査団体インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)代表の河村雅美氏が環境省に開示請求したところ、冒頭の2ページが黒塗りで開示されなかった。

 黒塗りのページには日米の担当者名や日付などが記されていると推測される。世界自然遺産の関連文書で黒塗りは2度目だとして、河村氏は「日米政府の協力体制の実効性に疑念が持たれる」と指摘する。

 米軍北部訓練場を含めた世界自然遺産登録地に関する2国間協力の声明の内容は、すでに公開されている。

 開示は11月6日付で、回答文書には情報公開法を根拠に「公としないことを前提とした米国との協議に関する情報」であり、「公にすることにより、米国との信頼関係が損なわれるおそれ及び米国との交渉上不利益を被るおそれ」と記載されている。

 環境省によると、声明は日米合同員会とその下の環境分科委員会で合意されたものという。

 河村氏は外務省にも開示請求をしているが、同様の部分開示になる可能性も想定される。河村氏は「何が書いてあって、それがどのような意味を持つのか。透明性が確保されず、協力体制を担保する文書の信憑性(しんぴょうせい)はより疑念を持たれる」と指摘した。

 一方、別の環境保護団体が1日に国会内で環境省や防衛省と交渉し、締結時期や制度的位置付け、拘束力について説明を求めたが、担当者からは「日米合同委員会で合意したもの」とした上で「協議の詳細については差し控える」との回答があった。

 交渉に同席したオキナワ・エンバイロメンタル・ジャスティス・プロジェクトの吉川秀樹代表は、「なぜ公開できないのか不思議だ。(声明の)有効性を明らかにしてもらうために、今後も質問を重ねていく」と述べた。

 共同声明は、日米が2015年に合意した環境補足協定に基づいて自然環境保全の分野での取り組みを初めて明記した。北部訓練場を含めた本島北部地域での希少種の生息モニタリングや外来種侵入対策に両政府が必要な対策を取ることが示された。(慶田城七瀬)