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生活保護訴訟、原告敗訴 厚労相引き下げ「合理性ある」


生活保護訴訟、原告敗訴 厚労相引き下げ「合理性ある」 生活保護訴訟の判決で「不当判決」と書かれた紙を掲げる原告側関係者=14日午後、那覇市楚辺(大城直也撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 生活保護費の基準額引き下げは憲法が保障する生存権を侵害し生活保護法に違反するとして、那覇市に住む受給者9人(うち3人死亡)が市に減額処分の取り消しを求めた訴訟の判決で、那覇地裁(福渡裕貴裁判長)は14日、引き下げた厚生労働相の判断について「一定の合理性がある」と判示し、原告側の訴えを退けた。原告側は控訴する方針。

 福渡裁判長は判決理由で、厚労相は基準の改定について「専門技術的かつ政策的な見地からの裁量権を有する」と指摘。実施した(1)基準額の水準と消費実態との乖離(かいり)の解消(ゆがみ調整)(2)物価動向を踏まえた減額(デフレ調整)―について「裁量権の範囲からの逸脱またはその乱用があるとは認められない」などと述べた。

 同種訴訟は29都道府県で提起され、これまで一審22件中12件で減額処分取り消しの判決が出ていた。那覇地裁の訴訟は、2014年10月に提起された。厚労省は08~11年に物価が下落したとして、独自に算定した物価指数を用いて13~15年の3年間で、生活保護費のうち食費や光熱水費に充てる生活扶助の基準額を平均6・5%引き下げた。

 判決を受け、原告側の大井琢弁護団長は「非常に残念だ。(厚労相の)裁量を幅広く認める前提だと、何でもありになる」と憤った。那覇市の担当者は「基準の改定が、適法であると認められたと承知している。関係機関との連携を図りつつ、生活保護行政の適正な実施に努めたい」と述べた。