嘉手納基地でパラシュート降下訓練を強行 20年7月以来 米軍、県や周辺自治体の中止要請聞き入れず


嘉手納基地でパラシュート降下訓練を強行 20年7月以来 米軍、県や周辺自治体の中止要請聞き入れず 上空からパラシュートで降下する米兵=19日午後7時55分、米軍嘉手納基地(大城直也撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 石井 恵理菜

 【中部】米軍は19日夜、嘉手納基地でパラシュート降下訓練を実施した。午後7時50分過ぎにMC130特殊作戦機から兵士がパラシュートで飛び降りた。訓練は2020年7月9日以来で約3年半ぶり。周辺自治体や県は計画が通知された18日に米軍などに訓練中止を要請したが、聞き入れられなかった形となった。

 沖縄防衛局によると、伊江島補助飛行場の滑走路の整備状況がMC130の離着陸に適さない状態にあり、米軍は例外的に嘉手納基地を使用するという。

 パラシュート降下訓練は、1996年の日米特別行動委員会(SACO)で伊江島補助飛行場で実施すると合意したが、2007年に「嘉手納基地を例外的な場合に限って使用」すると追加で合意した。嘉手納基地での実施は今回で15回目。

 嘉手納基地の第18航空団は琉球新報の取材に対し、「現在伊江島の飛行場だけに頼っていては、チームの要求を満たすには不十分で、条約上の義務を果たす準備態勢に影響を与えかねない」と説明した。

 玉城デニー知事は「大変遺憾であり、今後、日米両政府に対する抗議も含めて対応を検討する」とのコメントを発表。「県民の負担軽減を図るというSACO最終報告の趣旨に添って実施されるべきだ」と強調した。

(石井恵理菜、知念征尚)