「市長からセクハラ被害を受けた」と申告したら、十分な調査も行われず、契約解除で職を奪われてしまう。20日の南城市議会は、そんな理不尽な市政運営を放置している「共犯」の存在が浮き彫りになった。古謝景春市長を支える議会の与党会派だ。
今回の問題は、市長によるセクハラの有無だけが問われているのではない。「業務委託契約」という弱い立場にある女性に対して、「職員ではない」と言って第三者を入れた調査を拒否したことや、契約解除書類への署名の強要など多岐にわたる。いずれも行政の信頼性を揺るがす行為であり、これらを監視し、是正させることが議会の本来の責務だ。
しかし、与党側はこの日、市長への質問もせず、「議員は専門性を持っていない」などと言って、百条委員会設置という議会に与えられた権限の行使を見送った。疑惑発覚後に、被害を訴えている女性の情報を「暴露する」などと威圧する市長の言動をいさめる質疑も行わなかった。
この日の市議会は、議場の外にまで傍聴を求める市民があふれた。市長と議会多数派の姿を見た市民や職員は、この役所で安心して働けると思うだろうか。
議会は市長の追認機関ではない。市政の疑念を払拭するため、一刻も早く第三者調査の実現に動くべきだ。
(南彰)