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海上保安官2人をパワハラで懲戒処分 部下の20代職員が自死 11管、上司の行為が一因と認定


海上保安官2人をパワハラで懲戒処分 部下の20代職員が自死 11管、上司の行為が一因と認定 宮古島海上保安部が入る平良港湾合同庁舎=22日、宮古島市平良西里
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 第11管区海上保安本部は22日、2021年に宮古島海上保安部所属の同じ巡視船に乗っていた20代の部下の男性職員へのパワーハラスメント行為が認められたとして、3等海上保安正の男性(44)=石垣海上保安部所属=を停職2カ月、1等海上保安士の男性(46)=11管本部所属=を5分の1の減給(2カ月)の懲戒処分にした。男性は、巡視船内で自殺したという。11管はパワハラが自殺の一因となったとして同日、謝罪した。

 11管によると、男性職員は海上保安学校を卒業した21年3月に巡視船に配属され、同6月末に亡くなった。死亡について23年3月、国家公務員の労災に当たる公務災害に認定されたという。

 遺族から調査の申し入れを受けて21年7月から調査を開始。専門家や他の乗組員らへの聞き取り調査などして22年にパワハラと認定した。男性職員が死亡したという結果の重大性も踏まえて、処分内容を決めたとした。

 処分を受けた3等海上保安正は、21年4月から6月下旬の間にヘルメットの上から男性職員の頭をたたいたり、男性の吐しゃ物が付いた衣服などを海に投棄したりするなど3件の行為がパワハラと認定。1等海上保安士は同6月下旬に男性職員を激しく叱責(しっせき)するなどした2件の行為で処分を受けた。2人とも反省の態度を見せているという。

 11管は22日、懲戒処分を受けた2人に加え、乗組員1人もパワハラしたとして説諭処分にし、当時の巡視船の船長と機関長も管理監督責任があるとして同処分を下した。

 22日に開いた懲戒処分に関する記者説明会で11管の三窪浩貴総務部長は「心よりおわび申し上げる。二度と悲劇を繰り返さないように再発防止に努める」と述べた。遺族からは再発防止策の徹底を求められていると明らかにした。男性職員が亡くなる前の親族らとのSNSのやり取りなどから複数の私的な悩みにパワハラが重なり、自殺に至ったとの見解を示した。
 

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