本紙アンケートから、業務委託契約者をハラスメント防止規定の対象外としたのは6市と過半数を占め、職場でハラスメント被害に遭った場合、不安定な身分の労働者が守られる仕組みがないことが分かった。権力者によるセクハラやパワハラを防ぐ体制が不十分で、自治体は雇用形態や契約形態に関係なく行政に関わる全ての労働者を守る制度設計が求められる。
自治体によって対応にばらつきがあることが浮き彫りになった。うるま市のように業務委託契約者が規定対象外でも相談に対応すると答えた市がある中、市長と業務委託契約者が規定の対象外で事案が生じた場合も対応しないとした沖縄市、糸満市、南城市について成定洋子沖縄大教授は「自治体が『やらない』と判断している」と非難した。
特別職もハラスメント防止規定の対象だと4市が回答したが、実際に規定に明記しているのはうるま市のみだ。権力側の意向に左右されず、実効性を担保するためにも全ての自治体で特別職や業務委託契約者の取り扱いを明記する必要がある。
立場の弱い労働者は、そもそも雇い止めを恐れて被害を訴えづらい環境に置かれている。規定の対象に入れるのはスタートラインで、実際に規定を運用できているか確認することが重要だ。
公務の職場は対策の模範になることが求められる。研修などを充実させてハラスメントを防止しもし起きた場合も被害者が泣き寝入りせずに守られる仕組みづくりが求められる。
(上江洲仁美)