prime

【識者】女性が希望持てる環境を ハラスメント防止規定県内11市調査 成定洋子氏(沖縄大学教授) 


【識者】女性が希望持てる環境を ハラスメント防止規定県内11市調査 成定洋子氏(沖縄大学教授)  成定洋子氏(沖縄大学教授)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 >>県内6市、委託職員は対象外 ハラスメント防止規定

 女性活躍推進法は、女性が個性と能力を十分に発揮して職業生活において活躍できるよう、自治体に施策を策定・実施する責務を課している。職場や職種にかかわらず女性が安全に安心して働けるようにするのは最低限の責務だ。

 アンケートを見ると7市がハラスメント防止規定の対象に市長を含んでいない。行政のトップは大きな権限を持ち、さまざまなハラスメントの当事者となる可能性が高い。社会的影響も大きく、当然ながら加害対象に入れるべきだ。自治体は首長が当事者や関係者となった場合の措置についても規定に盛り込んでおくことが望まれる。市長だからこそ研修が必要で、多様なハラスメント問題を的確に理解するため継続的な受講が求められる。

 被害対象は、直接雇用の正規・非正規職員に限定せず、直接雇用ではないさまざまな非正規労働者も含め、雇用・任用の形態にかかわらず網羅すべきだ。自治体職員の非正規化が急速に進んでおり、中には業務委託や指定管理者制度による民間委託の形で働く人も少なくない。非正規は女性の割合が高い。自治体は、彼女たちが不安定な労働条件や非対称な力関係のために弱い立場に置かれており、相談することさえ難しいことを十分に認識する必要がある。

 規定はつくって終わりではない。足りない、現実に即さない部分があれば改良が必要だ。自治体は、性別や働き方に関わらず誰もが希望を持って働ける環境を整え地域に周知していく役割を持つと自覚してほしい。

 (ジェンダー研究)