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奄美の人に仕事を奪われるかも… 在沖出身者に向けられた”排除”の風潮 米国民政府の方針、当時の新聞も批判せず<奄美・復帰70年>


奄美の人に仕事を奪われるかも… 在沖出身者に向けられた”排除”の風潮 米国民政府の方針、当時の新聞も批判せず<奄美・復帰70年> 第二次入管令の制定について伝える琉球新報(1954年2月16日付)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

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 奄美返還前の沖縄社会では在沖奄美出身者に仕事を奪われるといった考えが浸透し、当時の新聞の論調もこうした考えに影響を受けていた。

 琉球新報の1953年12月7日付け社説では奄美出身者は琉球政府の職員になることができないという米国の方針が同年11月に米国民政府(USCAR)から琉球政府宛ての書簡で示されたことを紹介。身分の取り扱いがどうなるかについて「奄美大島出身者の苦悩も大きく、同情に堪えない」としつつも米国の方針を批判せず、奄美出身者らの地位や権利を守るよう訴えることはなかった。

 さらに同社説では、奄美出身者の「三分の一程度がいわゆる(戸籍登録をしていない)無籍者と見られている」とし、「無籍者に犯罪が多いのも事実である」と論を展開していた。無籍者や犯罪者などを外国人として社会から排除するよう促した。