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「対馬丸事件」と学童疎開を追体験 沖縄の児童10人、27日から宮崎へ


「対馬丸事件」と学童疎開を追体験 沖縄の児童10人、27日から宮崎へ 対馬丸記念館で事前学習に取り組む研修事業参加の児童ら=9日、那覇市若狭(対馬丸記念会提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 貞治

 1944年に米潜水艦の攻撃で、学童疎開をする児童などを含む1484人(氏名判明分)が犠牲となった「対馬丸事件」と学童疎開を追体験しようと、県内の児童10人が27~29日、沖縄からの疎開先の一つである宮崎県を訪問する。対馬丸記念会が主催。学童疎開の苦難を表すとして語り継がれる「やーさん、ひーさん、しからーさん(ひもじい、寒い、さびしい)」の状況を追体験し、戦争の悲惨さと平和の尊さの考えを深める。

 対馬丸記念館(那覇市若狭)を運営する同会による体験研修事業は、昨年の沖縄県内の開催に続いて今回が2回目で、県外研修は初めて。公募後の面接を経て参加者を決めた。

 3、9、16日に実施した事前研修に児童らが参加した。対馬丸事件や疎開のほか、沖縄からの疎開者が過ごした宮崎市波島などについて学んだ。

 当時4歳で海を漂流した、対馬丸記念会の高良政勝代表理事(83)も児童らに体験を語った。高良代表理事は「(漂流する海で)父親が後ろから支えていたから生き延びられた。父親の顔も遺影を見るしか知るすべがない」などと振り返った。児童らは記念館にある、いかだのレプリカに乗り、暗闇の中で当時を追体験した。

 宮崎県には空路を経て訪問し、沖縄と疎開にゆかりのある地域や史跡を見学したり、疎開を受け入れた地域の人たちと交流したりする。疎開当時の食事などで研修期間を過ごす。

 (島袋貞治)