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<沖縄墓碑銘2023>亡くなった方の足跡【文化・社会・スポーツ】 川満勝弘さん、ryuchellさん、岸本マチ子さん…


<沖縄墓碑銘2023>亡くなった方の足跡【文化・社会・スポーツ】 川満勝弘さん、ryuchellさん、岸本マチ子さん…
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 戦後78年、沖縄の施政権返還から51年を迎えた2023年。非戦を誓い記憶継承に尽力し、伝統文化の振興発展にまい進、競技力の底上げに努めるなど各界で功績を残した人々が惜しまれつつも逝去した。(年齢は享年、死亡年月、役職は死去当時、敬称略)

【文化・芸能】

 「ヒゲのかっちゃん」こと川満勝弘(78歳、4・20)は「コンディショングリーン」のリーダーとして、沖縄ロックの黄金時代をけん引。沖縄のロックの祭典「ピースフルラブ・ロックフェスティバル」には第1回大会からほぼ毎年参加した。

 ryuchell(27歳、7・12)はタレントやモデルとして活躍し、ラジオや雑誌、新聞、SNSなどに登場。メークやファッションなど「自分らしさ」を貫く生き方に、若い世代などから多くの共感や支持を得た。

 詩人・俳人の岸本マチ子(88歳、7・29)は、詩集「黒風」で第1回山之口貘賞を受賞。詩集「コザ中の町ブルース」で県内初の小熊秀雄賞を受賞した。現代俳句協会賞も受賞した。

 沖縄芸能研究家の宜保榮治郎(89歳、8・4)は、県立博物館長や琉球舞踊保存会顧問、伝統組踊保存会顧問などを歴任した。沖縄文化の普及や啓発活動に尽力し、県の文化振興に貢献した。

 琉球ガラス制作の先駆者で現代の名工・稲嶺盛吉(83歳、9・26)は、ガラスに泡を多く入れた「泡ガラス」を創作。琉球ガラスの芸術表現に大きな影響を与えた。

 県ファッションデザイナーの会会長の仲井間文子(88歳、11・16)は、県内ファッションデザイン界の草分け的な存在。かりゆしウエアやミス沖縄のコスチュームなど、ファッションを通じ沖縄の染め織りを発信した

 県指定無形文化財「琉球歌劇」保持者の親泊良子(94歳、1・28)、県指定無形文化財「八重山古典民謡」保持者の玉代勢泰興(75歳、1・31)、元全沖縄空手道連盟会長の佐久川政信(73歳、4・8)、県内を拠点に活躍したフォルクローレ歌手で画家のシルビオ・モレノ(80歳、6・9)、県IMモードデザイナーズ協会会長として後進の育成にも力を注いだ伊良波マサ子(74歳、10・4)、県指定無形文化財「沖縄伝統音楽野村流」保持者、県指定無形文化財「沖縄伝統舞踊(三線)」保持者の佐久田朝雄(78歳、11・24)、県指定無形文化財沖縄伝統音楽野村流保存会の会長や沖縄芸能協会会長などを歴任した玉城政文(95歳、12・8)、壺屋焼の伝統を守る荒焼の第一人者で現代の名工の新垣榮用(94歳、12・19)も世を去った。

【社会・平和・福祉】

 県立第二高等女学校の女子生徒で組織する学徒隊(白梅学徒隊)として沖縄戦を経験した中山きく(94歳、1・12)は、悲惨な戦場を目の当たりにした経験を次世代に語り継いできた。白梅同窓会長や元女子学徒隊で結成した「青春を語る会」の代表としても活動。過重な基地負担が集中する沖縄の現状を危惧し、平和の大切さを伝える活動に尽力した。

 沖縄戦研究者で県歴史教育者協議会委員長を務めた平良宗潤(82歳、2・10)は高校や大学で平和教育に務めた。不屈館運営委員長、豊見城村史編集委員、糸満市史編集委員長なども歴任し、戦争と平和、歴史に関わる活動に携わった。

 元ひめゆり学徒として沖縄戦で負傷兵の看護に当たった本村ツル(97歳、4・7)は戦争体験を語り継ぎ、糸満市のひめゆり平和祈念資料館の設立にも奔走。同館館長などを務めた。

 平良啓子(88歳、7・29)は、太平洋戦争中の1944年に米潜水艦に撃沈された対馬丸事件の生存者。教員として平和教育の先駆けを担った。退職後も対馬丸記念館で平和の尊さを訴えた。

 沖縄戦を体験した私立昭和高等女学校の元生徒の上原はつ子(94歳、10・25)は、糸満市の「全学徒隊の碑」建立に向けた活動に取り組み、戦争体験の継承に尽力した。

 エッセイストで路面電車を中心としたまちづくりを提唱したゆたかはじめ(本名石田穣一、94歳、1・17)、米軍基地と沖縄の民衆の姿を記録し続けた報道カメラマンの國吉和夫(76歳、2・2)、沖縄戦で県立第一中学校の通信隊として動員され、戦後体験を語り継いだ宮平盛彦(92歳、4・14)、沖縄弁護士会元会長や興南学園元理事長を務め、平和教育に取り組んだ知花孝弘(88歳、5・12)、沖縄戦に従軍した元なごらん学徒の語り部の上原米子(96歳、10・11)、元県立第三中学校の語り部東江新太郎(93歳、10・29)もこの世を去った。

【スポーツ】

 県高野連学識経験者理事などを務めた高江洲登(89歳、7・4)は、県高校野球の公式記録を長年担当し「県高校野球の生き字引」と慕われた。

 元県柔道連盟理事長の横田六十一(85歳、10・30)、元同連盟会長の宮城進(79歳、12・17)は、それぞれ精力的に後進を指導し、競技力向上に努めた。