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【深堀り】2050年、沖縄県人口140万人割れか 離島で減少進行、地域格差拡大


【深堀り】2050年、沖縄県人口140万人割れか 離島で減少進行、地域格差拡大 県内最少人口で推移する見通しの渡名喜村役場=2023年8月、渡名喜村
この記事を書いた人 Avatar photo 梅田 正覚

 国立社会保障・人口問題研究所(社人研)が昨年12月に公表した地域別将来推計人口によると、2050年に沖縄の人口は140万人を切る見通しだ。石垣市では25年まで人口増が続くが、その後は減少し、将来的に全ての離島で人口減に転じることが予想される。また本島は北部で人口減が進む一方、中南部は微減にとどまる見通し。将来的に県内の地域格差は拡大し、行政サービスの低下を招くおそれがある。

 これまで全国有数の人口増加県だった沖縄だが、23年に人口減に転じた。5年ごとの人口は20年国勢調査の146万7480人(実績値)がピークで、推計値では35年が145万619人、50年には139万1013人となる見通し。県内人口が140万人を超えたのは11年からだった。

 50年の推計人口に占める0~14歳までの割合は全国で最も多い13.8%(全国平均9.9%)、65歳以上の高齢者の割合は東京に次いで全国で2番目に低い33.6%(同37.1%)だった。沖縄全体で見ると、大都市圏以外で人口が微減で推移する唯一の県となる。

 だが、離島と北部の状況は一転する。最も減少割合が大きいのは伊平屋村で、20年は1126人だったが、35年には835人、50年には644人と30年間で482人(42.8%)減る可能性がある。

 県内で最少人口の渡名喜村は20年は346人だったが、30年代から200人台、50年には221人と予想される。本島最北端の国頭村は20年の4517人が、50年に33.7%減の2996人となる見通しだ。

 人口減を食い止めるために自衛隊を受け入れた与那国町だが、歯止めはかからない見込み。20年は自衛隊員を含め1676人いたが、35年には1358人、50年には1111人となることが想定される。

 一方、50年までに人口に占める高齢者率が50%を超える「限界集落」に該当する自治体はなかった。ただ、50年の高齢者率は伊平屋村が44.7%、渡名喜村は47.1%、粟国村は46.0%と限界集落に近い推計値となっている。県と市町村の介護保険料の負担が増すことにつながる。

 住民が少なくなれば経済停滞を招き、それがさらなる人口減につながる。財政負担は増し、全県的にも行政サービスを低下させる事態になりかねない。

(梅田正覚)