会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・普久原均琉球新報社長)の1月例会は10日、那覇市のザ・ナハテラスで開かれた。聖徳大学看護学部教授の栗盛須雅子氏が「データが語りかける沖縄県のすがた―健康を中心に置いて」の演題で講演した。
栗盛氏は、将来人口推計において沖縄の人口減少幅や高齢化率は比較的低いものの、県民一人一人の健康状態が危惧されると指摘。
2020年都道府県別生命表では、沖縄の平均寿命は男性43位と下落が続くが、16位の女性も「今後も落ちる傾向がある」と推測。65歳以上で障がいを持つ割合「加重障害保有割合(WDP)」も全国的に高く、「男性は介護度の高い人が多いと考えられる」と分析した。
平均寿命は所得や失業率、離婚率などと相関があり、女性の健康指標が悪化すると男性はさらに影響を受ける可能性があるという。この状況を改善するため、官民一体となった意識改革や雇用確保、ひとり親などの経済支援、教育への投資など、県への「10の提言」を発表した。
栗盛氏は「主観的健康観や病気を予防できる気持ちを持つと行動が変わり、健康情報に触れるようになる」と説明。夫婦が仲良く暮らすことで幸福感も得られることから、男性参加者に「奥さんは大事にしましょう」と語りかけた。
(嘉陽拓也)