波照間島は15年2カ月ぶり、多良間島は14年ぶりの空路再開だ。第一航空(大阪府)が石垣―波照間と石垣―多良間の運航を開始した22日、波照間や多良間の住民からは「最高」「待ちに待っていた」と喜びの声があふれた。一方、便数の少なさから利便性に疑問の声もあった。
午前10時5分、第一航空の第一便が波照間空港に着陸した。島にとって「歴史的な」瞬間に機内では拍手が沸き起こった。空港周辺には約60人の住民が駆け付け、乗客らを出迎えた。波照間公民館が手作りした「運航再開ありがとう!」の横断幕を島のおばあたちが広げ、笑顔で迎えた。
波照間シゲさん(87)は「最高にうれしい。病院や買い物で石垣島に行くのが便利になる」と空路再開に笑みを浮かべた。料金については減額を希望した。
保多盛奈美さん(49)は子どもたちの部活、土日の島外での大会や交流会などでの活用を期待した。
21日の石垣島マラソンに出場した波照間診療所の医師、樋口友哉さん(29)は行きは船、帰りは航空便を利用した。気候に影響されやすい船より、安定的な運航が見込める航空路線の再開で妊産婦も助かる面があるのではないかと、医療の面からも期待した。
波照間公民館館長の仲底善章(よしあき)さん(67)は、毎年のように町に航路再開を要請していた経緯を感慨深そうに振り返り「まちかんてぃーしていた。にーふぁいゆー(ありがとう)」と喜びを隠せない様子だった。
多良間空港でも村民による歓迎セレモニーが開かれた。村のイメージキャラクターにちなんだ「たらぴんダンス」を披露した多良間幼稚園の上地ももさん(5)は「石垣旅行に行き、ホテルに泊まってみたい」と満面の笑みを浮かべた。
息子夫婦が石垣市に住んでいるという運天宏和副村長は「運航再開で途絶えていた人的交流が深まり、観光振興に寄与することを期待している」と満足げだ。
利便性を疑問視する声も聞こえた。多良間村在住の40代男性は「週2便では日程が制限される。できるなら増やしてほしい」と増便を望んだ。
(照屋大哲、友寄開)