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塩屋漁港、拡張整備に住民から戸惑い 計画案区域内に「ウンガミ祈願場」 再検討求める声 沖縄・大宜味


塩屋漁港、拡張整備に住民から戸惑い 計画案区域内に「ウンガミ祈願場」 再検討求める声 沖縄・大宜味
この記事を書いた人 Avatar photo 武井 悠

 【大宜味】大宜味村は24日、漁船の大型化に対応した漁港への航路や停泊地の確保などを目的に塩屋漁港を拡張する計画を明らかにした。同日、初の住民説明会を塩屋公民館で開き、住民に計画案を説明した。現行の計画案では拡張区域が漁港南側にある兼久浜の一部に重なっている。同地は国指定重要無形民俗文化財の塩屋湾のウンガミ(海神祭)で祈願する場所になっており、住民からは戸惑いや再検討を求める声が上がった。

 計画案では10トン以上の船に対応するため、航路を水深3・5メートルまで掘り下げ、水深3メートルの停泊地を新設する。物揚場や護岸なども整備する。総事業費は16億円で、9割程度の国の補助を見込む。村によると2024年度以降、早い場所では25年度の着工を予定する。29年度の完成を目指す。

 説明会に参加した住民からは「神聖な場所の隣に人口構築物ができるとみんなショックを受ける」「北側や沖に伸ばすといった考えもいいのではないか」といった意見が出た。塩屋区の知念章区長は「住民は浜の姿に思い入れがあり残してもらえる形がいい。一方で水産業も栄えており、丸々反対ではなく海人と住民が互いに理解できる形であればいい」と願った。村の担当者は「(現在の計画案で)決まりではない。計画段階で説明会を重ねてみんなが納得できるような漁港を建設したい」と理解を求めた。計画変更の余地はあるとして「できるだけ砂浜は残したい」と説明した。

 塩屋漁港の西方沖では2018年度からマグロなどの養殖事業が展開されている。村によると、20年の陸揚げ額は2億100万円で、18年から約25倍増加した。

 (武井悠)