中傷や経済負担 苦しみ語る 池袋事故遺族の松永さん、上原さん


中傷や経済負担 苦しみ語る 池袋事故遺族の松永さん、上原さん 基調講演する被害者遺族の松永拓也さん(左)と上原義教さん=26日、那覇市の県市町村自治会館
この記事を書いた人 Avatar photo 金良 孝矢

 那覇市で26日に開催された犯罪被害者支援全国経験交流集会では、2019年の東京・池袋の乗用車暴走事故で妻真菜さん=沖縄出身・当時(31)、長女莉子ちゃん=当時(3)=を亡くした松永拓也さん(37)と、真菜さんの父で沖縄に住む上原義教さん(66)が基調講演した。大切な人を失い、その後も続く一連の苦しみを語った。

 松永さんはメディアスクラムで大変な思いをしたが、弁護士が間に立ち「助かった」と振り返った。一方、交流サイト(SNS)で誹謗(ひぼう)中傷が絶えない悩みも。運転手に損害賠償を命じる判決が出ると、周囲から「宝くじが当たったみたい」と心ない言葉もあったという。「命が戻ってくるならお金はいらない。けれどもそれ(賠償請求)でしか折り合いが付けられない」と心情を吐露した。

 真菜さん、莉子ちゃんと毎晩のようにテレビ電話をしていたという上原さんは「今でも苦しみから解放されることはない」と話し、何度も涙ぐんだ。事故後に仕事がつらくなって退職し、マンションも手放した。

 裁判のため東京と沖縄を行き来する経済的負担も大きかったと語った。事故の振り返りはつらいとしつつ、「世の中がもっと被害者側に寄り添ってくれたら」と願った。

 (金良孝矢)