「長寿」は引き継がれるのか? 3世代の腸内細菌を調査 沖縄高専と琉大医学部 大宜味村


「長寿」は引き継がれるのか? 3世代の腸内細菌を調査 沖縄高専と琉大医学部 大宜味村 調査研究の協力を呼びかける沖縄高専の池松真也教授(右)と生物資源工学コース専攻科1年の與古田英裕さん=大宜味村内
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 【大宜味】名護市の沖縄工業高等専門学校(沖縄高専)・生物資源工学科は琉球大学医学部と共同で「腸内細菌叢(そう)解析による健康・長寿因子の探究的観察研究」と称し、大宜味村内の80歳以上の長寿者と子、孫の3世代の便から腸内細菌叢(フローラ)を調べる長寿因子の研究を1月から開始した。健康長寿の人に多い「長寿菌」の世代間での伝播(でんぱ)の状況を調べていく。同様の研究は国内でも珍しく、研究者らは長寿県から転落した沖縄の「復活の鍵になれるといい」と意気込んでいる。

 細菌の家族間伝播は食器やタオル、トイレの便座などの共有やスキンシップなど日常生活の複数の場面で起きるという。
 特定の「長寿菌」が世代を超えて引き継がれることに期待しているという沖縄高専の池松真也教授は「長寿の要因はいまだ明確には解明されておらず、その秘密を科学的に明らかにできれば面白い」と研究に着手する。

 沖縄高専・生物資源工学コース専攻科1年の與古田英裕さん(21)は「エイサーや首里城のような、沖縄の文化の一つとしての長寿が低迷しつつある。文化としての長寿をつなげていくためにも、好きな科学技術を使って貢献したい」と語る。

 與古田さんら生徒が遺伝子を高速で読み取る機器「次世代シーケンサー」を使い、便の中の細菌のDNAを調べて「長寿菌」の存在などを確認していくという。

 池松教授によると、琉大医学部が宜野湾市内で行った高齢者の研究にも照らし、都市部と農村部の傾向の類似性や違いも調べていきたいという。

 調査対象は大宜味村内に30年以上居住する、80歳以上の男女とその子、孫。子と孫は村外在住でも可。20世帯ほどが必要だが、まだ協力できる家族を募集中だ。3回の便提供やアンケート調査回答が必要で、謝礼もある。問い合わせは沖縄高専・生物資源工学科、電話0980(55)4003(研究責任者・池松)。メールはikematsu@okinawa-ct.ac.jp
 (安里郁江通信員)