パルコ前の海「西海岸」のアセスメント、意見受け付け 浦添 9日必着、軍港部分含まず


パルコ前の海「西海岸」のアセスメント、意見受け付け 浦添 9日必着、軍港部分含まず
この記事を書いた人 アバター画像 慶田城 七瀬

 浦添市西海岸の埋め立てに関する環境影響評価(アセスメント)の方法書が昨年12月20日から公表されている。浦添、宜野湾、那覇市役所などでの方法書の公表は1月26日で終了したが、浦添市の公式ホームページで公開中で、9日(必着)まで環境保全に関する意見が誰でも提出できる。

 埋め立て予定地域は、浦添市西洲。本島中南部では貴重な自然海岸が残っている。識者は「埋め立てにより失われる物は何か。市民に見える形で手続きが進められる必要がある」と述べ、市民が関心を持つことに期待する。

 方法書は水質や大気、生態系などへの影響の測り方についてまとめた文書で約400ページある。方法書で示された土地利用計画図案によると、マリーナ用地や観光拠点を想定した交流厚生用地、臨港道路など計32・2ヘクタールを埋め立てる。埋め立て期間は着工後約7年を予定する。

 サンゴ礁に囲まれた浦添西海岸は現在、西海岸道路の開通や大型商業施設の開業で、地元住民や観光客も多く訪れ、「てぃだ結の浜」の愛称も付けられた。干潮時には浅瀬で自然観察会などが開かれ、ウミガメやジュゴンの餌となる海草藻場も広がる。

 一方、アセスメントの対象に、米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の移設先として新設される軍港部分は含まれていない。軍港部分は、事業者となる防衛局が発注し、23年6月から配慮書の作成が行われている段階だ。軍港は23年4月に、民港北側にT字型の形状でつくられることが日米合意された。自然環境保全地域の近くには、自然海岸「カーミージー」もある。

 浦添西海岸の開発について、市民らと学習会を重ねている琉球大学の亀山統一助教は「事業者ごとに細切れにアセスをすると、軍港も含めた事業の全体像や、環境に与える影響が見えにくくなる」と指摘した。「一度埋め立てると環境は戻らない。本当に必要なのかという問いがないまま進められようとしている」と危惧する。

(慶田城七瀬)