地震などの災害時に避難生活を送る女性や妊産婦、乳幼児向けの用品について、全国の自治体で備蓄が進んでいないことが4日、内閣府の調査で分かった。2022年末時点で離乳食を備蓄していたのは全市区町村の14・3%、妊産婦用の衣類は0・5%で、調査対象20品目のうち16品目で30%を下回った。
災害対応の部署に女性職員が1人も配属されていない「女性ゼロ」自治体が全体の6割を占めるなど、ニーズが反映されにくいことが背景にある。
能登半島地震では依然約1万4千人が避難所などに身を寄せている。各地から支援物資も届いているが、必要な品が行き渡っているかどうかチェックが求められそうだ。国は他の自治体にも、女性の視点に立った防災体制づくりを促す方針。
内閣府は、全1741市区町村を対象に、22年12月末時点の備蓄状況を調べた。
女性・妊産婦向けの用品では、生理用ナプキンを備蓄している自治体が82・5%に上る一方、女性用下着は11・9%、防犯ブザー・ホイッスルは6・4%、妊産婦用の衣類と下着はいずれも1%未満だった。
乳幼児用品では、粉または液体ミルクが72・5%だったのに対し、生後半年ごろから必要となる離乳食は14・3%にとどまった。乳幼児が頻繁に取り換える紙おむつは66・9%、おしりふきは26・1%で、常備していない自治体も多い。
災害に対応する防災・危機管理部局に女性職員が1人もいない「女性ゼロ」自治体は、全市区町村の61・1%を占めた。都道府県別で自治体の割合が高かったのは長野(83・1%)、岩手(81・8%)、岡山(81・5%)の順。沖縄は73・2%。
防災部署にいる女性職員の割合は全市区町村の平均で9・9%だった。
防災部署に女性が圧倒的に少ないのは「緊急対応は長時間労働で男性が適任」という無意識の思い込み(アンコンシャスバイアス)が影響しているとの指摘がある。内閣府は調査後も取り組みが進んでいないとして、自治体ごとの女性職員割合や備蓄状況を色分けして今後ホームページ上で公開し、改善を促す。
有料
妊産婦、乳児用備蓄進まず 自治体調査 離乳食14%、衣類0.5%
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琉球新報朝刊