防衛省が不開示の根拠とする情報公開法第5条は、行政機関の長に対し行政文書の開示義務を課すもの。同条4号は「公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧または捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」については、不開示と規定する。
防衛省は犯罪統計資料の数値を開示すると犯罪抑止効果が低減すると主張するが、件数を明らかにするだけでは具体的な捜査内容は分からない。犯罪についての統計は一般的には公表されるものだ。犯罪の発生件数や関わった人員を明らかにするだけで犯罪の発生を容易にしたり、犯罪を誘発したりするとは考えられず、5条4号は理由にならないのではないか。
6年分の資料がなく「保有を確認できなかった」と防衛省が説明したことについては、公文書が適切に管理されていないのではないかという疑念が持たれる。(談)
有料
識者談話 NPO法人クリアリングハウス 三木由希子理事長 犯罪誘発 つながらない
この記事を書いた人
琉球新報朝刊