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港の「軍事利用」に危機感 全港湾スト 「地域混乱避けられず」 石垣港と那覇港 


港の「軍事利用」に危機感 全港湾スト 「地域混乱避けられず」 石垣港と那覇港  コンテナが並ぶ石垣港=16日、石垣市浜崎町
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

米海軍のミサイル駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」の石垣港使用計画を巡り、全日本港湾労働組合(全港湾)沖縄地方本部が全面ストライキ方針を決定したのは、港の安全が脅かされるという危機感の表れだ。同本部はストライキ方針を通知した9日、港湾運送業界として駆逐艦の寄港中止を関係機関に働きかけるよう、企業側の沖縄港運協会に要請している。 

 要請書では「(米軍艦艇が)民間港を強制的に使用するとなれば地域への影響は多大で、混乱は避けられない」とした上で「港で働く労働者職域の安全を無視する行為で、到底理解されることではない」と指摘。「民間港の健全な利用と地域経済の正しい発展、港湾運送業の発展、港湾労働者が安心して働ける職場、安全で暮らせる職場の確保・維持の観点から」石垣港の使用回避を訴えている。

 石垣市で働く港湾労働者の一人は「米駆逐艦は何を積んでいるか分からない。自分の職域である港を軍事利用されたくない」と不安を口にした。市内では台風の影響で船舶が入港できずにスーパーが品薄となることが度々起こる。今回、那覇も含めストライキを決行すれば「沖縄の物流が止まる」とし、米軍による港使用の中止を望んだ。県民生活への影響は大きい行動だが「職場が戦争や軍事に利用されることに黙っていられない」と語気を強めた。

 那覇港管理組合関係者は「ストライキに入ると荷役作業ができなくなるため、物流への影響が出てくる。3月という時期で、引っ越しなどへの影響も懸念される」と語った。(照屋大哲、明真南斗、與那原采恵)