【国頭】環境省やんばる自然保護官事務所と、NPO法人どうぶつたちの病院沖縄(長嶺隆理事長)は15日、粘着シート式のネズミわなにかかって治療していた国指定天然記念物ケナガネズミの幼獣2匹を国頭村で野生に返した。村の学童クラブに通う子どもたちが見守る中、2匹は細い木の枝を素早く上り、木の上に消えていった。
2匹はいずれもメスで先月1日と2日、同村辺戸の民家で相次いでわなにかかった。住民を通じて連絡を受けた環境省職員が保護し、どうぶつたちの病院沖縄で治療を受けた。野生復帰時は体長約50センチ、体重約300グラムで、昨年春に生まれた個体とみられる。
同事務所の椎野風香自然保護官によると、ケナガネズミは生息状況が回復する一方、えさとなるドングリが昨年凶作だったことから森のえさが不足し、今後もえさを求めて人里に出てくる事例が増えると予想されている。わなを使用する際は生け捕り式のかごわなにするなど「地域の人たちはなるべくケナガネズミを傷つけない、捕獲しないような配慮をお願いしたい」と求めた。
森に返るケナガネズミを見守った田場和真さん(10)は「細い木に上って折れると思ったがずっと上っていってすごいと思った。けがなく安全に過ごしてほしい」と願った。
(武井悠)