那覇地裁、3週連続で「異例」の一部無罪判決 盗んだクレカでたばこ購入などの男性被告、組織犯罪法適用せず


那覇地裁、3週連続で「異例」の一部無罪判決 盗んだクレカでたばこ購入などの男性被告、組織犯罪法適用せず 那覇地裁(資料写真)
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 車上荒らしで盗んだクレジットカードでたばこ2点を購入したなどとして、窃盗と詐欺、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益仮装)の罪に問われ懲役1年6月を求刑された男性被告(21)の判決で、那覇地裁(小野裕信裁判官)は20日、同法違反罪の適用を退け無罪とした。窃盗と詐欺は有罪とし懲役1年2月、執行猶予3年を言い渡した。那覇地裁で一部無罪判決が出るのは3週連続で、異例とみられる。

 検察側は、被告がたばこの入手について正当な取引などを装った(仮装行為)と主張していた。

 小野裁判官は判決理由で、同法違反の処罰すべき行為は、捜査機関らによる捜査が困難になる場合などと解されると指摘。「一般的にこのような(場合の)性質を有しないものは、仮装行為に該当しない」と判示した。

 被告の行為は「犯罪収益などの追求・回復を困難にするなどの性質を見いだすことはできない」と断じ、詐欺罪のみで評価されたとした。

 検察側が示した過去の判決例は「事案が異なる」「賛同できない」と述べ、採用しなかった。
 同法違反の不成立を訴えていた被告代理人の釜井景介弁護士は「厳格な法解釈で、もっともな判断だ」と受け止めた。

 那覇地検の初又且敏次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。