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ジェンダー平等実現へ 私たちの役割と挑戦 新垣道子(グラアティア共同代表) <女性たち発・うちなー語らな>


ジェンダー平等実現へ 私たちの役割と挑戦 新垣道子(グラアティア共同代表) <女性たち発・うちなー語らな> 新垣道子(グラアティア共同代表)
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 3月8日は国際女性デーだ。女性のエンパワーメント、ジェンダー平等については私自身、会社や社会の中で、さまざまな葛藤とともに関わってきた。少しでも日本の社会を良くしていきたい、という強い思いを持って継続して取り組んでいるテーマの一つだ。

 「世界経済フォーラム」が公表する、世界各国の男女平等の度合いを数値化した「ジェンダーギャップ指数」の2023年データでは、日本は主要先進国で最下位の146カ国中125位、特に政治と経済の分野で女性参加割合の低さが顕著だ。

 以前、勤めていた外資系企業で、管理職女性を対象に開催された女性エンパワーメントに関する研修の一コマを思い出す。グローバル人事担当役員が各国の女性リーダー向けに行った研修だったが、驚くことに「自分が成果を出した仕事内容をどう正しく会社に評価してもらうか。会社への待遇の交渉方法」という内容が含まれていた。欧米企業では、社員のパフォーマンスによって、その年、受け取る給与額が変わる。会社にとっては、コスト増にもつながる不都合な話だ。

 「沖縄県の県職員女性の年収は男性の7割」というニュースを先日見たが、似たようなことは、沖縄や日本に限らず、世界に拠点を持つ外資企業の各国の女性社員データにも現れていた。研修での役員の話は、なぜ、女性の活躍が必要なのか、期待やアドバイスへと続いた。優秀な人材は、男女関係なく公正に評価されるべきで、社内のダイバーシティーが進むほど、より会社は発展していくのだ、とその役員は言い切った。

 消費者ニーズが多様化し、ビジネスもよりグローバル化する中、リーダーとして、人種・言語・バックグラウンドなど多様な人材を育成してほしい、とも話した。とりわけ女性管理職が少ない日本においては、私たちリーダーが仕事と家庭やプライベートを両立しながらビジネスの場で活躍する姿を見せて、メンバーを引っ張っていく役割があること、それは会社のみならず、社会全体にとっても重要な意味を持つのだと。

 そう、働く私たち女性は重要な任務を請け負っている。男性参加者がほとんどのカンファレンスでのスピーカー役や、スタートアップビジネスコンテストでそうそうたる男性審査員の中に、私だけが女性審査員役、という躊躇(ちゅうちょ)したくなる場面でも「ここは、お断りすべきではない」と言い聞かせ、その役割を引き受けてきたのはそういう意図からだ。

 現業のイベントの仕事では、企業向けに「両立支援プログラム」の一環で、育休から復職したばかりの社員(多くは女性)の配偶者(多くは男性)の時短料理教室を作り、サービス提供している。子ども向けのボランティアSDGsワークショップでもジェンダー平等について教えている。

 いつの日か「女性エンパワーメントなんて言葉があったね」と懐かしむほど、男性、女性、LGBTQなど分け隔てなく、誰もが活躍できる世の中に早くなってほしいし、していきたい。