不発弾、今なお地中に1878トン 処理に100年以上 沖縄県民の生活脅かす


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不発弾、今なお地中に1878トン 処理に100年以上 沖縄県民の生活脅かす
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戦後79年が経過した今も地中には多くの不発弾が埋まっている。2022年の県消防防災年報によると、沖縄戦当時に使用された弾薬量は約20万トンとみられ、その5%に当たる1万トンが不発弾として残ったと推定されている。不発弾は殺傷力や破壊力を維持したままで、県民の生命を脅かしている。

 1万トンとされる不発弾のうち、日本復帰までに住民などの手で約3千トン、米軍によって約2500トンが処理された。復帰後は自衛隊によって2022年度までに約2122トンが処理されたが、いまなお1878トンの不発弾が埋没していると推測される。

 死傷者を出した1974年の聖マタイ幼稚園不発弾爆発事故を契機に、国や県、市町村が不発弾の事前探査や発掘、除去対策などについて話し合う沖縄不発弾等対策協議会が発足した。しかし、協議会発足後も不発弾の爆発による悲惨な事故がたびたび発生している。

 87年には那覇市長田で1人が死亡、89年には伊江村東江上で1人が死亡している。2009年には糸満市内の歩道で水道管の掘削工事中、接触した不発弾が爆発し、重機を運転していた男性が顔面に重傷を負った。

 糸満での事故を契機に県内の全ての公共工事で磁気探査の実施が義務化され、12年には住宅建設など民間工事での磁気探査支援事業がスタートした。しかし、県内全ての不発弾を処理するには100年以上かかると言われている。 

(吉田健一)