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県立高卒業式 新しい世界へ 重度知的障がいの仲村伊織さん(真和志高・ゆい教室) 「おめでとう」に笑顔満開 同級生と共に確実に成長


県立高卒業式 新しい世界へ 重度知的障がいの仲村伊織さん(真和志高・ゆい教室) 「おめでとう」に笑顔満開 同級生と共に確実に成長 「おめでとう」と声を掛けられ満面の笑みを浮かべる仲村伊織さん=1日、那覇市の真和志高校
この記事を書いた人 アバター画像 琉球新報朝刊

 県立高校全60校で1日、卒業式が開かれた。各地で祝福を受けた卒業生らは、新しい世界への一歩を踏み出した。2023年度の県立高校卒業予定者は全日制1万1978人、定時制103人、通信制162人、特別支援学校高等部364人の計1万2607人。
 重度の知的障がいがある仲村伊織さん(21)が1日、県立真和志高校の「ゆい教室」を卒業した。伊織さんや両親は、障がいの有無を越えて共に学び合える環境を求めて、重度の知的障がい者としては県内初の普通校受験に挑戦し、4年をかけて合格をつかみ取った経緯がある。同日、伊織さんは友人や教師などたくさんの仲間に祝福を受け、「おめでとう」と声をかけられ満面の笑みを浮かべながら花道を歩いた。
 「大きい学校(高校)に行く」という本人の希望を、両親や友人、関係者が一丸となって支援し実現した高校生活だった。入学した2021年は新型コロナウイルスの影響で臨時休校が続き、休校中は母親の美和さん(55)の手を引いて学校に行きたがることもあった。
 「ゆい教室」は島尻特別支援学校の分教室という位置付けで学籍は島尻特支校にあったが、真和志高の校内で同級生と共に過ごす中で、表現の豊かさを深め語彙(ごい)が増えるなど確実に成長した。父親の晃さん(57)は「伊織の存在をきっかけに、同級生や教員はコミュニケーションの取り方や関わり方を考え、障がいについてさまざまな気付きがあったはずだ」とし、「共に学ぶことができたのでは」と期待を込める。
 式後は同級生や保護者、教師が集まり「おめでとう」と笑顔で囲んだ。担任がギュッと抱きしめると、「ありがとう」と言っておじぎをし、こぼれるような笑みを見せた。介助者として関わってきた男性から「社会人になるね」と、かりゆしウエアのプレゼントを受け取ると感極まった様子で涙を浮かべた。
 今後は地域で暮らすためにどんなことができるのか、模索しながら「伊織らしさを失わないように」(晃さん)と、高校生活での学びを生かし、さらに成長できる舞台を探す。 (嘉数陽)
「おめでとう」と声を掛けられ満面の笑みを浮かべる仲村伊織さん=1日、那覇市の真和志高校