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テーブル吹き飛ばし、葉たばこ畑に線状の跡 伊江島に竜巻 「大変なことに」住民ら衝撃


テーブル吹き飛ばし、葉たばこ畑に線状の跡 伊江島に竜巻 「大変なことに」住民ら衝撃 竜巻によって吹き飛ばされたいすなどにより、破損したホテルの窓ガラス=5日午前11時過ぎ、伊江村(ホテル提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 5日に伊江村で確認された「竜巻」は島南東部に上陸し、宿泊施設や葉たばこ畑を通過し、窓ガラスが割れるなどの被害が確認された。多くの住民らが「ゴォー」という音とともに、海水を巻き上げて迫り来る姿を目撃していた。同日午後、島では後片付けに追われる住民らの姿が見られた。目撃者によると、竜巻は上陸後、しばらくして消失したとみられるが、突然訪れた自然の脅威は、島民らに衝撃を与えた。 

 午前11時過ぎ、本部港を出港した「フェリーぐすく」に、到着地の伊江島から連絡が入った。「大変なことになっている」。船長の玉城勝彦さん(56)が島の方向へと目を向けると、島の西海上から東海上へと移動する竜巻の姿がはっきりと見てとれた。

 船で働いて34年、船長になって13年だが「これほど大きな竜巻を見ることは初めて」。前日夜から、本島北部では竜巻に関する気象情報が出ていたが、まさかこれほど大きな竜巻に遭遇するとは思っていなかったという。玉城さんは「南西の風が吹いていたので通り過ぎたが、(船に)当たっていたら大変なことになっていた」と語った。

 「お客さま、従業員に被害がなかったのが不幸中の幸いだ」。島南東部にあるホテルの古田隆士支配人は同日午後、片付けが進むホテル内で安堵(あんど)の表情を浮かべた。上陸した竜巻は、ホテルのプールサイドにあったいすやテーブルなどを約50メートル吹き飛ばし、ロビーの窓ガラスが破損する被害が出た。敷地内の外灯の破損が確認されたという。この日は定休日に当たり、客を帰した後で、従業員も通常よりは少ない体制だった。

 音を聞いて、外に出たペンション従業員の40代女性は、目の前の葉たばこ畑で茶色の土を巻き上げる大きな渦を目撃した。急いで事務所へと戻り、身を隠したという。このペンションにあった、日よけのカーテンを支える金属製の支柱は折れ、テラスのいすやテーブルなども破損した。

 施錠していなかった客室の窓が開き、室内にも泥や砂が入り込んだ。女性は「泥や砂の片付けに追われた」と疲れた様子で語った。女性が「大きな渦」を目撃した畑では葉たばこにかぶせた黒いビニールに、竜巻が通過し巻き上げたとみられる土の跡が、線状にくっきりと残っていた。

 村内で畜産業を営む男性は午前11時5分ごろ、島の西側海上から東側陸地へ移動する竜巻を伊江港から北東に約500メートルの地点で目撃した。竜巻は風が湧き上がるように発生した後、ホテル付近で島に上陸し、ホテル北東のため池付近で消滅したという。

 男性は上陸後の様子について「(ホテル北東の)ため池の水を吸い上げて竜の尾のような形になったが、10秒ほどでぱっと消えた」と話した。
 (金城大樹、武井悠、池田哲平)