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枯れ葉剤の影響、今も 沖縄の大学生らが石川文洋さんとベトナムで平和研修


枯れ葉剤の影響、今も 沖縄の大学生らが石川文洋さんとベトナムで平和研修 ベトナム平和研修で体験したことを報告する参加学生たち =10日、那覇市の沖縄大学
この記事を書いた人 Avatar photo 岩崎 みどり

報道写真家の石川文洋さん(86)と学生ら7人によるベトナム平和研修(主催・アレン奨学会沖縄)の報告会が10日、那覇市の沖縄大学で開かれた。3~8日までの訪問で、学生たちはベトナム戦争で使用された枯れ葉剤の影響が50年たつ現在も続いている現状を目の当たりにした。

報告会で石川さんは「今この瞬間も(枯れ葉剤の影響を受けた)子どもが生まれている。枯れ葉剤も原子力爆弾も頭のいい人や政治家が考えたものだが、子どもたちが影響を受ける。戦争とはそういうものだ」と伝えた。石川さんは今回の訪問中に撮影した写真を紹介し、平和の素晴らしさを伝えた。「戦争はみな同じ、政治家が考えて民間人が犠牲になる。ベトナム戦争の写真を見て、今のパレスチナ、ウクライナを想像してほしい」と伝えた。

沖縄大学3年の我如古芹璃さん(22)は、現地の学生と2日にわたり夕食を共にするなど絆が深まったことを報告し「若い世代がつながることが、平和をつくるのに大事になるのではないか」と話した。名桜大学2年の宮城希望さん(25)は「ベトナムの学生と平和を考え、戦争を後世に伝え続けようと約束をした」と報告。枯れ葉剤の影響とみられる障がい者が入所するツーズー病院などを訪問した時に「どう接すればいいか戸惑ったが、明るく歓迎してもらえてうれしかった。戦争はいけないと伝える使命を持ち、生きていると感じた」と振り返った。

ベトナム戦争に参加した元米兵の故アレン・ネルソンさんの遺志を継ぐアレン奨学会沖縄は、2010年からベトナムの子どもに奨学金を贈る。15回目を迎える今回、平和研修を実施した。一行は、戦争を伝える博物館などを訪問、下半身がつながった結合双生児として生まれ、7歳で分離手術を受けたグエン・ドクさん家族とも交流した。

(岩崎みどり)