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「死因触れられてない」「何があったのか知りたかった」 遺族、会見で自ら質問 報告書に失望も 那覇・認可外保育園の乳児死亡 沖縄


「死因触れられてない」「何があったのか知りたかった」 遺族、会見で自ら質問 報告書に失望も 那覇・認可外保育園の乳児死亡 沖縄 検証委の報告書について説明する照屋建太会長(左)と市の座安まり子こどもみらい部長=25日、那覇市役所
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 那覇市の認可外保育園で一時預かりの3カ月の乳児が心肺停止状態で救急搬送後、死亡した事案を巡り、市が設置した検証委員会(会長・照屋建太沖縄キリスト教短期大教授)が25日、知念覚市長に再発防止策を提言した。知念市長は答申の傍聴に訪れた遺族に頭を下げ、二度と同じことが繰り返されないよう誓った。だが、遺族の厳しい表情が崩れることはなかった。

 「代理人弁護士から情報提供された『窒息』という死因の鑑定結果について、報告書では一言も触れられていない」。乳児の母親は答申後の照屋会長らによる会見に参加し、声を震わせながら自ら疑問点をぶつけた。

 報道陣に提供された遺族コメントには「当日、何があったのかを知りたい。私たちはずっとそう望んでいました。今回の報告書を読ませていただいてもその望みは果たされませんでした」と記され、失望をあらわにした。

 乳児が心肺停止になっていた場にいて、当時のことをよく知るであろう元園長に聴取できなかったことについて、検証委も「事実関係をしっかり把握できなかった」(照屋会長)と無念さをにじませた。

 調査報告書では、事案が発生した認可外園が基準以下の職員配置で、利用者からも「保育従事者の不足を感じた」との声が漏れていたことや、事故防止マニュアルがなかったことを記載し、子どもの安全を守るには心もとない運営だったと改めて示した。元園長が別の保育園で園長を務めていた際の、苦情の報告や指導歴も明らかになった。

 そのような不適切な保育環境を見逃さないよう、市に対して14項目の再発防止策を突き付けた検証委。照屋会長は「市にとっては頑張らないといけない内容はたくさんある。今後ちゃんと実施するか報告してもらい、問題があればしっかり改善に取り組んでもらいたいと強く申し上げたい」とくぎを刺した。