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国頭消防庁舎、移転検討 M8地震で津波浸水恐れ


国頭消防庁舎、移転検討 M8地震で津波浸水恐れ 移転が検討されている国頭地区行政事務組合消防本部の庁舎=29日、国頭村辺土名
この記事を書いた人 Avatar photo 武井 悠

 国頭地区行政事務組合消防本部(稲福伸消防長)が入る国頭村辺土名の庁舎について、同事務組合が建て替えと移転を検討していることが30日までに分かった。昨年3月に消防計画審議会を立ち上げ、新庁舎の建設候補地などをまとめた基本構想の策定を進めている。現庁舎は県が指定する津波災害警戒区域に含まれており、消防車両が津波による浸水で災害出動できなくなる恐れがある。2031年度の新庁舎完成を目指しているが、同消防本部は用地取得など今後の状況次第で「大幅に前後する可能性がある」としている。

 現庁舎は標高9・1メートルで、最も近い海岸線からの距離は約750メートル。津波シミュレーションの結果などから、県はマグニチュード(M)8~9クラスの地震が発生した際、現庁舎一帯が津波により最大で3・3メートル浸水すると想定している。

 同消防本部によると、現在は津波の発生が想定される際、災害時の対応をまとめた受援計画で、消防車両を直ちに高台へ避難させることや、消防本部を庁舎2階や東村の東分遣所などに設置する対応を定めている。

 同消防本部の敷地内には1983年に完成した鉄筋コンクリート造2階建ての庁舎と、84年に完成した高さ約20メートルの訓練棟があり、庁舎には消防署と消防本部が入っている。建物は老朽化が進んでいるほか、消防団員の増加で手狭となっている課題もある。

 同事務組合の管理者を務める国頭村の知花靖村長は「消防は住民の安心、安全を守るために重要だ。災害に強く迅速に対応できる庁舎を造りたい」と語った。

 同消防本部は1980年に発足し、国頭村、大宜味村、東村を管轄している。

 (武井悠)