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学校防犯カメラが感染 サイバー攻撃 犯罪悪用、盗み見も


学校防犯カメラが感染 サイバー攻撃 犯罪悪用、盗み見も 防犯カメラを使ったDDoS攻撃のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 小学校や保育園の防犯カメラが昨年、サイバー攻撃を受けてコンピューターウイルスに感染していたことが総務省などへの取材で31日、分かった。インターネットを通じて外部から操作できる状態になっており、ハッカー犯罪者が別のサイバー攻撃の踏み台に悪用していた。映像が盗み見される恐れもあった。
 総務省は昨年10月、文部科学省やこども家庭庁を通じ、学校や保育園にセキュリティー対策の強化を要請した。
 カメラはいずれも「IoT機器」と呼ばれ、Wi―Fiなどでネットと接続して映像を送信する。総務省によると、情報通信研究機構(東京)が小学校と保育園の計2カ所で感染したカメラを発見した。校名や詳しい時期は明らかにしなかった。セキュリティーの欠陥を放置していたのが原因とみられる。小学校や保育園は既に対策を済ませた。
 ウイルスは「Mirai(ミライ)」とみられる。ハッカーがカメラに感染させ、大量のデータを送り付けてシステム障害を起こす「DDoS(ディードス)攻撃」に利用していたようだ。
 IoT機器のセキュリティーに詳しいトリニティー(名古屋市)の兼松拓也社長によると、セキュリティー対策が甘いカメラを調査し盗み見するサイトもあるという。「子どもたちのプライバシーに直結するので、パソコンなどと同様に対策が必要だとの意識を持ってほしい」と呼びかけた。
 防犯カメラは全国で数百万台あるとされる。学校や保育園でも不審者の侵入や虐待などのトラブルを防ぐために設置が進んでおり、文科省の2021年度の調査では全国の幼稚園や小中高校など約4万5千校のうち約64%が設置済みだった。