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犯罪被害者に寄り添い続け 沖縄ゆいセンター法人化20年 高まるニーズ、市町村に支援拡充訴え


犯罪被害者に寄り添い続け 沖縄ゆいセンター法人化20年 高まるニーズ、市町村に支援拡充訴え 沖縄被害者支援ゆいセンターの奥平登美子理事長(左)と備瀬進事務局長=3月22日、那覇市旭町の県南部合同庁舎
この記事を書いた人 Avatar photo 西田 悠

事件事故の被害者やその家族を支援する沖縄被害者支援ゆいセンター(奥平登美子理事長)は3月30日、2004年の法人化から20周年を迎えた。19年には年間の相談・支援件数が千件を超えるなど、支援のニーズが高まる中、県は23年に「県犯罪被害者等支援計画」を策定した。奥平理事長は「次の課題は各市町村で条例を制定すること」と、地域に根ざした支援の拡充を訴える。

沖縄被害者支援ゆいセンターは、02年に設立された任意団体「被害者こころの支援センター沖縄」を前身として、支援内容の充実や社会全体での支援意識の醸成を図り、04年に社団法人化して設立された。個人や法人、県警職員らからの賛助会費や寄付により運営され、支援はボランティアの相談員などによって無料で行っている。

電話や面接での相談と直接支援の合計件数は04年度の247件から漸進的に増加。20年度には最多の1366件に至り、その後も年間千件以上で高止まりしている。

活動は、警察や裁判所などへの付き添いに加え、国が支給する犯罪被害者等給付金の申請補助、被害者らが悩みなどを共有する自助グループの運営支援など多岐にわたる。近年では、県外で夫からDVを受け3人の子を連れて県内に避難してきた女性に対し、引っ越しや就労・食料支援、子の転校手続きなどで2年間以上かけ対応したことも。相談員は宮古・石垣など離島にも配置されており、弁護士を本島から派遣して相談を受けることもある。

被害者支援のニーズの高まりから、県は23年6月、被害者の経済的負担軽減や精神・身体的被害の回復など6方針を掲げた「県犯罪被害者等支援計画」を策定した。

ゆいセンターの奥平理事長は、支援計画について「施策の枠組みが具体化されていて画期的」と評価しつつ「他県に比べ遅れがある」と指摘。その上で、市町村単位での被害者支援の条例制定を提案し「条例制定により相談窓口を明確にし、地域の状況を把握して独自の施策を打つことが求められる」と展望する。

同センターでは賛助会員や寄付を随時募集しているほか、売上金の一部を寄付として納める「犯罪被害者支援自動販売機」も設置している。寄付などの問い合わせは(電話)098(951)2408。被害相談は(電話)098(866)7830(平日午前10時~午後4時)。

(西田悠)