「回復過程を見てほしい」 アートに癒やしの力求め 米兵性被害のフィッシャーさん展覧会


「回復過程を見てほしい」 アートに癒やしの力求め 米兵性被害のフィッシャーさん展覧会 「アートを通して自分がPTSDから回復した過程を見てほしい」と話すフィッシャーさん=1日、那覇市泉崎の県庁
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 2002年に米兵からのレイプ被害に遭い日米地位協定の改定を求めて活動する豪州出身のキャサリン・ジェーン・フィッシャーさんが2日からアートの展覧会を那覇市の県立博物館・美術館県民ギャラリーで開く。県内初開催。入場無料、14日まで。フィッシャーさんは「アートを通して自分が性被害から回復した過程を見てほしい。被害者は悪くないと伝えたい」と来場を呼び掛けた。

 フィッシャーさんは、02年に横須賀市内で米空母乗組員から被害を受けた。加害者は刑罰を逃れ米国に帰国、民事訴訟で勝ったが賠償金は支払われなかった。

 被害後は心的外傷後ストレス障害(PTSD)に苦しみ、アートに気持ちをぶつけるようになった。キャンバスを真っ黒に塗りつぶした作品もある。沖縄で起きた米兵の性犯罪事件に心を痛めた時に制作した作品のタイトルは「I am beautiful(私は美しい)」。キラキラと輝くビジュー(装飾品)をちりばめた。「被害に遭った後はまず自分を癒やすことが大事」との思いを込めた。

 自身が置かれた苦境の元凶が、不平等な日米地位協定にあると知り、22年にわたり改定を訴えてきた。08年には「米兵によるあらゆる事件・事故に抗議する県民大会」に登壇し自身の体験を語った。登壇後に駆け寄ってきた人には、50年前の被害を打ち明ける高齢女性もいた。「いまも米兵による犯罪が繰り返されている沖縄で、アートに癒やしの力があることを知ってほしい」と語る。

 自身が被害に遭ったのは4月6日。「(4)シ(6)ロ=潔白」になぞらえ「デイ・オブ・イノセント」と呼び、「私は悪くない」と前を向く。

 (慶田城七瀬)


 展覧会は午前9時開館。火~木、日は午後6時、金、土は午後8時に閉館。最終日の14日は午後1時まで。6日午後3時半からは博物館・美術館の講堂で「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」共同代表の高里鈴代さんとフィッシャーさんの講演もある。入場無料。