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【深掘り】用心棒代、みかじめ料…沖縄で県警が取り締まり強化へ 半グレに警戒も


【深掘り】用心棒代、みかじめ料…沖縄で県警が取り締まり強化へ 半グレに警戒も 県警が飲食店などの店舗と暴力団の関係遮断のための取り締まりを強化する那覇市松山=3月
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄県内の風俗店や飲食店の一部が、用心棒代やみかじめ料の名目で暴力団に資金供与していたとされる問題で、県警は昨年4月から暴力団と店舗側の関係遮断のための取り締まりを強化し、3月末までに県暴力団排除条例違反などの容疑で暴力団員4人、店舗関係者7人の合計11人を摘発した。県警は現在も取り締まりの手を緩めず、両者の関係を注視している。店舗側には県警の姿勢に呼応して暴力団との関係排除に向けた動きが出ている一方で、県外の反社会的勢力の活発化を警戒する声も上がる。

 2019年5月の改正県暴排条例施行で、那覇市松山と沖縄市上地(通称・中の町)の一部が暴力団排除特別強化地域に指定された。この地域での暴力団員と風営法適用店舗の用心棒代やみかじめ料の授受には罰則が付くようになった。

 県警は昨年、那覇市松山の店舗への一斉家宅捜索などを経て、特別強化地域における条例の規定を初めて適用し、暴力団員に加えて、店舗関係者の摘発にも踏み切った。

 今年1月には用心棒代を支払ったとして、松山でキャバクラ店など5店舗を経営していたグループ代表の男性を暴排条例違反容疑で那覇地検に書類送致した。3月15日には代表を含むグループの関係者11人が県警を訪れ、「これまでの違法行為を反省し、グループの解散および暴力団との関係遮断を決意した」と宣言したという。

 また3月には、暴力団組員の男性に用心棒代を支払っていたとして、同組員と那覇市の9事業者(14店舗)に対して、県暴排条例に基づき、金銭などの授受をしないよう勧告した。店舗当たり2~3万円を支払っていたという。

 「みかじめ料を払ったら警察にたたかれ、払わなければトラブル材料を増やす恐れもある。板挟み状態なのは否めない」。あるキャバクラ店の関係者はこうため息をつく。

 那覇市内の飲食店事業者によると、取り締まり強化を受け、これまでのみかじめ料などの支出がなくなったことを歓迎する店舗がある一方、酔客らによるトラブルが起きた場合の対処に頭を悩ませる店舗もある。

 別の反社会的勢力が進出する余地が生まれ、県外の半グレ集団や暴力団関係者によるトラブルの増加を懸念する声もあるという。

 県警組織犯罪対策課は、昨年からの一連の捜査で、松山や中の町を中心に約60店舗が暴力団とつながりがあることを把握したとしている。暴力団との関係遮断に一定の効果があったとの認識を示す一方で、いまだ関係を維持している店舗もあるとみている。同課は「暴力団からの要求があれば相談してほしい」と呼びかけている。