前那覇議長の汚職事件で初判決 贈賄側の会社役員に有罪判決 現金4500万円渡す 那覇地裁


前那覇議長の汚職事件で初判決 贈賄側の会社役員に有罪判決 現金4500万円渡す 那覇地裁 那覇地裁(資料写真)
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 那覇市有地の所有権を巡る贈収賄事件で、前那覇市議会議長の久高友弘被告(75)=収賄罪で起訴=らに現金4500万円を渡したとして、贈賄罪に問われていた会社役員の被告(70)=東京都=の判決公判が10日、那覇地裁であり、佐藤哲郎裁判長は懲役2年執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。同事件では初めての判決。

 佐藤裁判長は判決理由で、「市議会議長の職務の公正や適正に対する社会の信頼を大きく害する悪質な犯行」と判示。一方で、被告の犯行での役割は「従属的といえる」とも指摘した。

 起訴状などによると、被告は2021年2月8日、那覇市議会議長室で、同市有地の所有権帰属が関係者に有利になるよう取り計らいを受けるため、元総会屋の被告(80)=贈賄罪で起訴=らと共謀して久高被告らに現金4500万円を供与した。

 久高被告らに渡った5000万円のうち、残りの500万円は元総会屋の被告らが20年12月に供与していたとしている。

 3月の初公判で会社役員の被告が起訴内容を認め、即日結審していた。

 検察側の論告などによると、会社役員の被告は21年1月上旬ごろ、知人の元総会屋の被告から資金提供を依頼された。久高被告による議会工作のための資金であると告げられ、5億円の報酬を得ることを条件に引き受けた。手数料3億円と利息分の支払いを条件に、東京都内の実業家から5000万円を借り受けたとしている。

 事件を巡って、那覇地検は23年12月、会社役員の被告ら5人を贈賄罪などで起訴。収賄側として久高被告ら2人、贈賄側として元総会屋の被告ら3人を起訴したが、うち贈賄側の1人は死亡のため、地裁が公訴棄却した。

 関係者によると、会社役員の被告を除く3人については、裁判の争点などを話し合う公判前整理手続きに時間を要しており、公判期日は未定という。