認定こども園、計画頓挫 資材高騰、人件費増で 県外の運営予定社が辞退 沖縄・名護


認定こども園、計画頓挫 資材高騰、人件費増で 県外の運営予定社が辞退 沖縄・名護 幼保連携型認定こども園が整備される予定だった土地=17日、名護市大北
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 【名護】名護市大北の幼保連携型認定こども園整備計画が、同園を設置・運営する予定だった社会福祉法人タイケン福祉会(埼玉県)が辞退し頓挫したことが17日、市への取材で分かった。こども園は今年4月に開所予定だった。名護市によると資材費の高騰や人件費の増加などが理由という。

 市は再度の公募は行わず、保育士の確保や市内の保育施設の入所枠を増やすなどして対応する。

 こども家庭庁による調査では、2023年4月1日時点で、名護市の待機児童は56人で全国で3番目に高く、喫緊の課題となっていた。市の担当者は「(整備計画が)うまく進んでほしかった」と肩を落とす。

 市の子育て支援課によると、同市大北への認定こども園の整備計画は22年12月に決定した。23年4月には公募型プロポーザルを実施し、市内の事業者とタイケン福祉会の2社が応募。タイケン福祉会が選定された。

 こども園の整備は国の就学前教育・保育施設整備交付金を活用した市の補助事業として、実施設計や本体工事に対し、約3億6千万円の補助が出る予定だった。

 計画は、受け入れ人数が131人、対象年齢は0~5歳。当初は、2階建てで屋上に子どもらが遊べる庭園を設置する予定だったが、住民説明会などを経て、周囲の住宅構造などに配慮し、3階建てに設計変更した。しかし、今年1月、タイケン福祉会の担当者から市に「辞退するかもしれない」などとメールがあり、2月に正式な辞退の申し出があった。

 市は4月から大北幼稚園で3~4歳の園児30人の受け入れを始め、緑風こども園でも19人の入所枠を確保するなどして対応している。

 また市は新たな事業者を公募しない代わりに、年内に定員19人以下の小規模保育事業所を2カ所新設するほか、25年4月から市内の認可保育所を認定こども園に移行し、約30人の入所枠を増やす方針だという。

 琉球新報は17日、タイケン福祉会に取材を申し入れたが、担当者の不在を理由に回答はなかった。

 (金城大樹)