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負担軽減はどこに? 嘉手納基地でパラシュート降下訓練 続く「例外」 沖縄


負担軽減はどこに? 嘉手納基地でパラシュート降下訓練 続く「例外」 沖縄 上空からパラシュートで降下する米兵=19日午後2時19分、米軍嘉手納基地(ジャン松元撮影)
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 県や周辺自治体が再三再四、中止を求める中、米軍は19日、5カ月連続となる嘉手納基地でのパラシュート降下訓練を強行した。「例外」とされていた嘉手納基地での降下訓練が「常態化している」と怒りの声が上がり、訓練の中止を求める声はより一層強まっている。

 沖縄市、嘉手納町、北谷町でつくる「嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会」(三連協)会長の桑江朝千夫沖縄市長は「5カ月連続で実施されたことは、実質的な常態化である」とした。周辺に住宅地が広がる嘉手納基地での事故などを懸念し、「基地負担軽減に逆行するものであり、訓練を行わないことを強く求めていく」とコメントした。

 北谷町議会は16日に沖縄防衛局と外務省に降下訓練に抗議する意見書を提出したばかり。基地対策特別委員会の照屋正治委員長は「米軍も日本政府も地域の声を聞いてほしい。訓練は到底容認できない」と改めて反対の立場を示した。嘉手納基地での訓練実施の理由となっている伊江島補助飛行場について「整備にこれだけ時間がかかるのは米軍が保守点検をおろそかにしていたからではないか。しわ寄せがこちらに来ている」と憤った。

 5カ月連続の降下訓練に嘉手納爆音訴訟原告団の新川秀清団長は「日米で合意しようが、米軍は自分たちの思うようにやっているのが現実だ」と語気を強めた。ここ数年で米軍による騒音の苦情範囲も広まっており、これまで名乗りでなかった宜野湾市伊佐浜や北中城村、恩納村からも原告団入りする人が増えているという。「米軍は傍若無人に、日本はそれに追随する。自衛隊も増強する中、沖縄がとりでと化している」と指摘し、「新しい戦前になっている気がしてならない」と憂いた。

 伊江村に住む平安山良尚さん(62)は、パラシュート訓練に「場所がどこでも関係ない。やめてほしい」と話す。伊江島補助飛行場の滑走路が整備されれば、パラシュート訓練再開の可能性があることに対し「戦争につながる訓練をしてほしくない」と訴えた。

 (金盛文香、玉城文、金城大樹)