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「通わなければ合格はなかった」 沖縄県事業の「無料塾」10年 医学部、農学部へ通う出身者語る


「通わなければ合格はなかった」 沖縄県事業の「無料塾」10年 医学部、農学部へ通う出身者語る 大学等進学促進事業の事業統括責任者の川辺寿幸さん(右)と話す、無料塾の出身者ら=4月22日、那覇市の那覇尚学院
この記事を書いた人 Avatar photo 高橋 夏帆

「通わなければ合格はなかった」。県の大学等進学促進事業「無料塾」を受講して進学を果たした学生からは、制度の意義を実感する声が聞かれる。経済的に厳しい家庭の生徒らは、制度を支えとして学習に励んで進学し、将来の夢や目標へと歩んでいる。

 琉球大医学部5年の黒島長優さん(23)は八重山高校2年の時、無料塾の案内を学校でもらい、入塾した。母子家庭で、平日は放課後に塾に通い、週末はアルバイトをして生活費を稼いだ。
 「塾に通う間は自分の勉強だけを考えられる時間だった」。同じ境遇で進学を志す生徒と話すことが励みにもなったという。1年の浪人を経て合格。「求めている知識に、講師が丁寧に答えてくれた。通って本当によかった」と感謝する。

 琉球大農学部1年の大門昊暉さん(18)は小禄高2年の時に友人に誘われ入塾を決めた。高校の友人はみな、進学希望で有料の進学塾に通っていた。「独学だと差が開いてしまう。でも、ここなら進学組と同様に学べる体制が整う。負けない、追いつこうと思って頑張った」と話す。
 塾では、先生が親身になって教えてくれたと振り返り、「人から教わって身に付ける場が必要だった」と話した。
 (高橋夏帆)