有料

「安全な水に戻して」住民から切実な声 普天間基地周辺で高濃度PFAS 立ち入り調査拒否も批判 沖縄


「安全な水に戻して」住民から切実な声 普天間基地周辺で高濃度PFAS 立ち入り調査拒否も批判 沖縄 水道のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 県の2023年度調査で普天間飛行場の周辺地域の一部地下水から高濃度の有機フッ素化合物(PFAS)が検出されたことに、地域住民や市民団体からは安全な水を求める切実な声が上がった。

 一方で米軍が、県などが自助努力で水道水への影響を低減していることを理由に、県の立ち入り調査要請を拒否している問題についても批判の声が相次いだ。 

 普天間飛行場に近く、湧き水から高濃度のPFASが検出されている宜野湾市喜友名の知念桂子自治会長は「喜友名泉(チュンナーガー)が早く安心・安全に使える水に戻ってほしい」と訴える。湧き水は、古くから地域の人の生活用水として使われていたが、今は散水や農業用水のみに使用を制限している。「基地内も調査できるようにしてほしい。安心して水が使える状態に戻ってほしい」と語った。

 基地への立ち入りを求めて要請を続ける宜野湾ちゅら水会の町田直美代表=真志喜=は、米軍が立ち入り調査を拒否したことについて「県の努力で飲める水道水がつくられているのに、おかしな理屈だ」と怒りをあらわにする。

 ウェブサイトで県内のPFAS汚染状況をマップで公表しているインフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)の河村雅美代表は「PFASはそのままにしていてもなくならない。時間がたったら蓄積されていくものだ」と指摘。「県は今後、県民の生活への影響がどこまで広がるのかという調査も必要だ」と語った。米軍が基地内調査を拒否したとの報道には、県が基地の立ち入りを要請する根拠となっている環境協力に関する1973年日米合同委の合意に言及し「地元のイニシアチブを通じて解決されることが明記されている。この文言を県の要請に盛り込んでいくべきだ」と話した。

  行政側からも怒りの声が上がる。県企業局関係者は「米軍が汚染していて本来取らないといけない水源からの取水を止めている。費用を掛けてでも頑張っているのに『値が下がっているから調査が必要ない』と言うのは許せない。占領意識が強いのではないか」と憤った。

(吉田健一、玉城文、狩俣悠喜、慶田城七瀬、明真南斗)